弁護士活動日誌

大阪過労死問題連絡会の常設電話相談

 当事務所が窓口となっている大阪過労死問題連絡会(以下「連絡会」と言います。)では、全国一斉で実施をしている毎年6月の過労死110番の他、過労死・過労自殺・過重労働に関する常設の電話相談を2013年6月から開設し、当事務所の業務日に対応をしています。

 当職や和田弁護士がまず相談のお電話を聞いた上で、事件として取り組むべき事案については、連絡会所属の弁護士に輪番で割り振って、その後の対応を頂いてます。弁護士が不在の場合は、当事務所の事務局が概略をお聞きして、折り返しのお電話をするなどしています。

 日常的に頻繁にご相談の電話がかかってくる訳ではないものの、新聞、テレビなどで過労死問題が取り上げられた後には、立て続けに相談が入ることがあります。昨年11月には関西テレビで奈良県の職員の方の過労自殺事案の報道がされた後には、公務員のご家族から、今にも息子や夫が倒れそうだといった相談が相次ぎました。

 毎日終電で帰って、翌朝も6時ごろには家を出る。週末も土日いずれかは仕事に出ていて、今にも家族が倒れるのではないかという悲痛な相談に対して、即座に働かされ過ぎの職場環境が変わる、こうすれば改善がされるといった特効薬ともいえる具体策を提示することが出来ず、忸怩たる思いをすることも多々あります。そのような場合でも、民間の労働者であれば、労基署に相談をされてはどうかといったアドバイスをさせていただくのですが、公務員の場合、都道府県の人事委員会に一定の権限があるとはいえ、労基署のような労働状況を監督するという機能が十分機能しているとはいい難く、先ほどのような悲痛な相談にはただお話を聞くことしか出来ず、暗澹たる思いになります。他方で、相談を聞いてもらえたと言うだけで喜んでいただける場合もあり、そのような声に逆に励まされることもあります。

 政府の推奨する「働き方改革」において、これだけ、脱長時間労働が声高に強調される中で、実際には、今にも倒れるのではと悲痛な思いで働いている労働者が沢山いる現実を目の辺りにしてます。過労死防止の具体策として我々弁護士に何が出来るか。実際に倒れてからでは遅い、その思いを具体的な過労死予防策にどのように繋げることが出来るのか、明確な答えが見つからず試行錯誤が続いています。

 連絡会の初代会長田尻俊一郎医師が常々言われていた「駆け込み寺」として、具体的な役割が果たすことが出来るよう、連絡会の弁護士と力を合わせて知恵を絞らなければと痛感しています。 

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