弁護士活動日誌

個人通報制度と死刑の廃止

 日本は、1966年(昭和41年)に採択され、1976年(昭和51年)に発効した自由権規約(市民的及び政治的権利に関する国際条約)を1979年(昭和54年)に批准しています。
 この自由権規約には、二つの選択議定書があります。選択議定書とは、条約に盛り込まれていない事項を条約の一部として定める法的国際文書であり、条約から独立したものであると同時に、条約から切り離しては存在できず、また、効力を持つには条約締結国によって批准されることが必要となるものです。
 自由権規約の第一選択議定書(締約116カ国)は個人通報制度(人権条約で保障された権利を侵害された個人が、国内での救済措置を全て尽くした後、条約機関に直接訴え、国際的な場で人権侵害の救済を求めることができる制度)について規定し、第二選択議定書(締約90か国)は締約国に死刑制度の廃止を義務づけています。
 日本は、現在上記いずれの選択議定書にも批准していません。しかしながら、人権保障を担保するためには個人通報制度の実現が不可避であると思いますし、死刑制度の廃止は既に国際的な潮流となっています(いわゆる先進国の中で死刑制度の存置国とされるのは日本とアメリカだけであり、そのアメリカにおいても23州では死刑制度が廃止されれています。)。日本が自由権規約の選択議定書を批准する日が来ることを願ってやみません。

弁護士 中森 俊久

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