弁護士 和田 香の部屋

2011年12月

賃貸借契約中の更新料

2011/12/13 19:09:09

賃貸マンションに住んでおられる方も多くいらっしゃると思いますが、平成23年7月15日、賃貸借契約中の更新料支払いに関する条項が消費者契約法に反し無効か否かについて争われたケースについて、最高裁判所が更新料支払条項を有効とする判断を示しました。
 更新料支払条項とは、賃貸借契約の更新時に、借家人が家主に対し、一定額の更新料を支払わなければならないとする約束です。
 消費者契約法10条は、「民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項(権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。)に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。」と定めています。
 最高裁は、更新料支払条項が消費者契約法10条後段に該当するか否かは、①当該条項の性質、②契約が成立するに至った経緯、③消費者と事業者との間に存する情報の質及び量並びに交渉力の格差、等を総合考慮して判断されるべきとしました。
 そして、①更新料の法的性質は、賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものであり、更新料の支払に経済的合理性がないとはいえないこと、③一定の地域において更新料の支払いをする例が少なからず存在し、また、従前裁判上の和解手続き等においても、更新料条項を当然に無効とする取扱がされてこなかったことから、更新料条項が賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載され、賃借人と賃貸人との間に更新料の支払に関する明確な合意が成立している場合に、更新料条項に関する情報の質及び量並びに交渉力について、看過し得ないほどの格差があるとはいえず、④更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの事情がない限り、消費者契約法10条に違反しない、と判断しました。
 ちなみに、本件のケースは、1年更新の契約で、賃料が月額3万8000円であるところ、更新料が賃料の2ヶ月分に相当する7万6000円でした。
 当該最高裁判例により、今後、更新料支払条項は、直ちに無効とならないことになります。
 しかし、最高裁が示した①②③の基準のうち特に②の契約締結に至った経緯及び③の情報及び交渉力の格差の程度、そして、④の更新料と賃料・賃貸期間のバランスがとれているかどうかは、個別のケース毎に具体的に考慮されます。
 本件最高裁判例によって全ての更新料支払条項が有効とされた訳ではありませんが、更新料の有効性についてはこれまで高等裁判所間で判断が分かれていたことから重要な判例といえます。 

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