当事務所の弁護士が関与した主な事件
薬局における自死損害賠償請求事件
- 分野
- 年月日・判断機関
- 2016年11月10日 茨木労働基準監督署 労災請求
2017年6月22日 大阪労働局 審査請求
2018年11月27日 労働保険審査会 審査請求
2019年4月26日 大阪地方裁判所 提訴
- 事案の概要・争点・コメント
- 事案の概要
大阪府吹田市の薬局に正社員として勤務していた津島美希さん(当時30歳)が、社長、上司からのパワーハラスメントが原因で2016年1月4日に自死した。
美希さんは2014年10月に入社後、処方箋の入力等に従事していたところ、翌年3月より社員旅行の幹事を担当することになったが、他の幹事2名が退職するなか、旅行について社長に相談をしても、社長より叱責されるなどされ、1人で社員旅行の準備を進めざるを得ず、帰宅が午前0時を過ぎるなど、長時間労働を強いられた。
家族には仕事のことを考えると緊張し、寝付けないと漏らすようになり、2015年8月にはうつ病との診断を受け、休職のため会社と話し合いをする予定であった2016年1月に自宅で自らの命を絶った。
ご遺族は、美希さんが自死に至ったのは、長時間労働、社長、上司からのパワーハラスメントが原因であるとして茨木労働基準監督署に労災申請をしたものの、労働基準監督署は「攻撃的な上司の言動に憔悴していた」と認定したものの、心理的負荷は強くなかったとして労災と認めなかった。
争点
会社、社長はパワーハラスメント自体を否認し、美希さんが自死に至った法的責任は、労働基準監督署が労災認定をしなかったことなどを根拠として、その法的責任を否定している。
したがって、本訴訟においては、社長、上司からのパワーハラスメントがあったこと、それが原因で美希さんがうつ病に罹患したが、会社はこれを放置し続けたため、美希さんが自死に至ったことが争点となることが予想される。
コメント
本訴において会社、社長の責任を明らかにするとともに、中小企業の半数以上にハラスメントの相談窓口がないという現状から、小さな会社で逃げ場がなく、社内で相談できなかった背景などを明らかにし、同じような苦しみをもっておられる労働者の解決の一助になればと考える。
弁護団は鎌田幸夫弁護士(北大阪総合法律事務所)、和田香弁護士(西田・真鍋法律事務所)である。
- 新聞記事等
- 2019年4月20日 毎日新聞
2019年4月27日 毎日新聞
2019年4月28日 しんぶん赤旗

