事務所ニュース いずみ第24号(2008/7/1発行)

愛媛県「来島海峡第三上出」 久津間慶二氏 撮影
夏草や兵どもが夢の跡 芭蕉
厳しい暑さが続きますが、みなさまお元気にお過ごしでしょうか。
学生時代のある夏、二ヶ月近くをアテネで過ごしたことがあります。極東からの学生には、なかなか訪れる機会のないであろう国の古代ギリシャの遺跡を週末の度にほっつき歩きました。生活をしていた寮には、沢山のヨーロッパからの学生がいましたが、彼らからすれば、毎週末、必死になって「石」を見て回る姿は、少し、奇異に映ったかもしれません。
著名なパルテノン神殿をはじめ、古代の劇場跡など立派な遺跡は沢山ありましたが、その後、何年経っても未だに心に強く残るのは、ただ野っ原だけが広がっていたスパルタです。案内版がなければ見落としてしまいそうな何の変哲もない場所でした。
「スパルタ教育」の語源となったこの古代ギリシャの都市国家は、質実剛健を重んじ、一切の贅沢を禁止したと言われています。周辺諸国との戦争に備えるために体を鍛え、戦に戦を重ね、何も遺すことのなかったポリス。西洋の地にいながら、ふと、冒頭の芭蕉の句が頭をよぎりました。
何も遺してくれなかったと後世の民に嘆かれることのないよう、何を未来に遺し、何を遺してはならないのか、日本の一つの転換期であるこの時代に、改めて真摯に考え直す必要があるように思っています。
2008年8月 あべの総合法律事務所
弁護士 蒲田豊彦 事務局長 酒井 秀和
弁護士 岩城 穣 事務局次長 根木原知子
弁護士 上出恭子 事務局次長 春名 敬志
弁護士 佐藤真奈美 事務局 井上奈津子
弁護士 中森俊久 事務局 古橋 督大
弁護士 長瀬信明 事務局 角谷 千晶
弁護士 立野嘉英 事務局 大谷ちひろ
事務局 山口 愛
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