弁護士 中森俊久の部屋

配偶者居住権の新設

2019/10/11 16:30:45

 2018年7月に、相続法制の見直しを内容とする「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」と、法務局において遺言書を保管するサービスを行うこと等を内容とする「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が成立しました。
 約40年ぶりの相続法の改正には、幾つかのポイントがありますが、今回は新たに新設された配偶者居住権について紹介します。
 夫が死亡し、妻と子ども1名が相続人、夫の遺産は自宅不動産(2000万円)と預貯金3000万円の場合を想定します。法定相続分は1:1となりますので、妻が引き続き自宅で居住するために不動産を相続すれば、預貯金は500万円しか取得できません。そのため、妻が生活に不安を覚える事態となるケースが存在しました。
 新法は、社会経済情勢の変化に鑑み、相続の開始時に相続の対象となる建物に居住していた配偶者の居住の権利を保護する目的で、「配偶者居住権」なる債権を新設しました(民法1028条)。例えば、前述のケースで、妻が配偶者居住権(評価額を1000万円とします)のみを取得し、不動産自体は子どもが相続すれば、妻は1500万円の預貯金を取得することができます。
 もっとも、争いがない遺産分割のケースでは、一方の配偶者が死亡した後、他方が生存する場合には、通常、生存する配偶者の生活を考慮した遺産分割がなされるでしょうから、あえて配偶者居住権を利用する必要もないと思われます。

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