弁護士 中森俊久の部屋

生命保険金の扱いについて

2019/08/13 17:00:10

 生命保険金は受取人として指定された者が、保険契約上の固有の権利として取得するものなので、相続財産ではないとされています。もっとも、保険金は特定の相続人が受けとったうえ、さらに残りの遺産を当該相続人も含めて法定相続分で分割することが果たして妥当なのかと躊躇せざるをえないケースもあろうかと思います。
 この点、民法703条の特別受益は、贈与又は遺贈を対象にしており、生命保険金はそのいずれにも該当しません。もっとも、判例は、受取人である相続人とその他の相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほど、著しいものであると評価すべき特段の事情がある場合には、同条の類推適用により、当該保険金請求権は特別受益に準じて持戻し(相続財産に計算上加算すること)の対象になるとしています(最高裁判所平成16年10月29日決定)。
 この「特段の事情」が何なのかが難しいところですが、判例によればそのハードルは決して低くないと窺えます。特別受益に準じて持ち戻しを認めたケースとしては、妻が取得する保険金等の合計が約5200万円で、遺産総額の61%を占めるようなケースで、被相続人と妻の婚姻期間が3年5か月程度という事例(名古屋高裁平成18年3月27日決定)などがあります。
 いずれにせよ、生命保険金は遺産分割とは常に無関係という訳ではありませんので、この点ご留意いただけたらと思います。

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