弁護士 上出恭子の部屋

2007年08月

a, vis et deviens ─行け、生きろ、そして生まれ変われ─

2007/08/01 09:00:00

 つい先日見た、邦題「約束の旅路」という映画のタイトルだ。映画は、エチオピアに生まれたキリスト教徒の少年が、家族を失い最後生き残った母とともに歩いてスーダンの難民キャンプにたどり着き、さらに、生き延びるために、母に命じられて、ユダヤ人だと偽って一人イスラエルへと脱出する。背景には、エチオピアのユダヤ人をイスラエルに移送するという「モーセ作戦」の知られざる史実がある。
 映画の中心は、少年が、自己を偽り、表面的には故国であるはずのイスラエル社会で過酷な黒人差別を受けながらも成長していく過程である。しかし、それ以上に、私を捉えたのは、オリジナルの映画のタイトル「Va, vis et deviens -行け、生きろ、そして生まれ変われ-」である。おそらく一生再会することはできないであろうことを知りながら、母が主人公である息子に向けた言葉だ。どんな状況にあっても、「生き抜く」という思いがこの言葉には込められているように、感じられてならない。

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