弁護士 上出恭子の部屋

2006年01月

むかし、井戸を掘りに行きたかった

2006/01/01 09:00:00

 ご存じの方も多いと思うが、今年の夏頃に岩波ブックレットで「憲法を変えて戦争へ行こうという世の中にしないための18人の発言」という冊子が出版された。そのことを知らずに、電車の中で、インテリ風の中年の男性がひょいとこの本を片手に持って、立っていたのを目にしたことがあったが、「憲法を変えて戦争へ行こう」の部分しか見えなかったため、非常にぎょっとして、思わず、その男性を睨み付けそうになった。その後、正式なタイトルを知ってほっとした。
 さて、この冊子、なかなかコンパクトに大事なことが詰まっているのだが、私が一番この冊子を買って良かったことは、この冊子に出てくる「中村哲」さんというお医者さんの話。その経歴の紹介の中で「2000年より、大干ばつに見舞われたアフガニスタンでの水源確保のため、灌漑事業を継続して行っている、著書に『医者井戸を掘る』」という文字を見たことだ。そうそう、むかし(高校から大学にかけて)、私の将来の夢の一つは、途上国で井戸を掘るなり、途上国で役立つ仕事をすることだった。社会人になって、すっからかんに、そんなことを忘れてしまっていたが、中村さんの文書・写真を見て、当時のことが鮮明に甦った。
 体力もなく、土木技術もなく、今の私は、到底井戸を掘ってお役に立つことは出来そうもない。だけど、井戸を掘るつもりで、今、この日本で出来ることは何か、そんな思いが湧いてきた。

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