弁護士 蒲田豊彦の部屋

広辞苑と私

1998/02/10 09:00:00

 私の「愛読書」の一つに新村出編の広辞苑(岩波書店)がある。広辞苑は「国語辞典であるとともに、学術専門語ならびに百科万般にわたる事項、用語を含む中辞典として……収載項目はすべて約22万」である。
 私が広辞苑を引くのは歴史、文学、宗教(仏教)、能楽、美術などのジャンルが多い。広辞苑は大概のことは載っており、しかも、よく纏められ知識の大集成として、実に素晴らしい。
 特に仏教の用語などの定義や解説は充実しており、私は大いに重宝している。広辞苑は昭和35年に初版が刊行され、平成3年に第4版が出版され、新しい事項も登載され、完璧なものとなった。
 広辞苑は私の知識や教養の淵源ないしは端緒となっており、広辞苑を調べることを契機としてそれらをさらに深めていく場合もあり、大袈裟にいえば、広辞苑は私の師となっている。
 広辞苑の22万の収載項目を眺めていると、人間の営為の広さや偉大さを改めて気づかされ感動させられる。

修習生と私

1997/09/10 09:00:00

 7月22日から4ヶ月間の予定で、いま、司法修習生が事務所に研修に来ている。
 司法修習生は法律家の卵で、司法試験に合格後、2年間修習をし、弁護士、裁判官、検察官になる。身分は最高裁判所の所属で公務員に準ずるものである。
 前期の4ヶ月と後期の4ヶ月は司法研修所(埼玉県和光市にある)で勉強し、その間の16ヶ月を4ヶ月づつに分けて、民事裁判所、刑事裁判所、検察庁、そして弁護士会に配属されて実務を学ぶのである。
 私はマンツーマン方式でできるだけ生きた事件に接してもらうために相談室での相談や裁判所への出頭、証人調べ、現場調査、刑事事件での接見などあらゆるところに一緒について来てもらっている。
 若い修習生と接していると青雲の志に燃えた自分の修習生時代を思い出し、気持ちも若返ってくる。
 4ヶ月の修習を通じて私の持っている弁護士像を伝えることが私の役割であると考えている。それをどのように受けとめるかは彼の問題である。4ヶ月後にはいい弁護修習であったと喜んでもらえるような修習をしたいと思っている。

古典と私

1997/03/15 09:00:00

 私の古典への憧憬は小倉百人一首に始まる。萬葉歌から新古今和歌集を経て続後撰和歌集に至る百人の秀歌は歌ガルタを通じて中学生だった私を魅了した。歌の意味よりもあの三一音の格調高い旋律が私の感覚によく調和したのである。
 高校卒業の年、百人一首のなかの次の歌を贈られた。
   忍ぶれど色に出にけりわが恋は
   ものや思うと人の問ふまで

 私は同じく百人一首の次の歌を贈った。
   難波がた短きあしのふしの間も
   あはでこの世を過してよとや

 高校での源氏物語の若紫の巻や徒然草の授業には大いに感興を覚えたものである。
 しかし、大学進学のための古文を主語だの、形容詞だの、副詞だのと細切れにする無味乾燥な勉強が私を古典から遠ざけていった。
 その後、中村真一郎や立原正秋といった作家の本に出会い、古典を物語として読み、日記文学として愉しむことを学んだ。
 この二人の作家が私に古典の面白さや奥深さを教えてくれたように思う。
 古典を読むたびに新しい発見をし愉しんでいる。

25年の歳月

1996/10/18 09:00:00

 先日、司法研修所卒業25周年を記念する集いが京都であった。NHKの朝の人気ドラマ「ひまわり」のヒロインが司法修習生を演じて活躍していたが、私たちは司法修習生から弁護士や裁判官や検察官になって二五年が経ったのである。
 私たちのときは1クラス50人で10クラスであった。すでに物故した人もいる。そんななかで、私のクラスは全国から20名ほどが集った。みんな50歳前後の働き盛りで立派に法曹の一翼を担っている。年輪を重ね頭に白いものが目立っている。
 しかし、みんな生き生きと充実した日々を送っている様子である。現在は司法試験に合格したあと裁判官、検察官、弁護士志望者が一緒に修習をするという統一修習制度である。こういう制度のなかから、弁護士、裁判官、検察官が法廷の内外で対等に対決し、力量を発揮することが保障される。これは民主主義や人権の保障のために欠かすことができない大切な制度である。こんなことを思いながら出席した人たちの近況を含む様々な内容のスピーチを訊いていたのである。

ヨーロッパを旅して

1996/05/25 09:00:00

 この3月21日から10日間、ロンドン、ヴエネチュア、フィレンツェ、ローマ、そしてパリをまわって きた。3度目のヨーロッパである。今度の旅は妻や3人の子供たちと一緒であった。かねてから家族にヨーロッパの文化の一端に触れてもらいたいと思っていたのである。
 訪ねたどの都市も街の中心に大きな寺院や教会があり、石造りの建物や石畳の道路によって街衢(がいく)が形成されており、そこにはヨーロッパの伝統と給持の文化や生活があるように感じた。街のあちこちにある広場や緑の公園、街のいたるところに軽造作におかれている素晴らしい彫刻や銅像。街全体が美術館である。ヨーロッパの街はキリスト教とその文化に色濃く影響を受けていると思った。これらの質の高い美術や文化を理解するにためにはキリスト教を理解することが大切だと思った。
 また、私は一方でこのようなヨーロッパの誇り高い文化に接しながら、他方で奈良や京都に代表される日本の美しさを思い浮かべ、自分の美意識や自分の存在感といったものが日本的なものへと回帰していくのを感じていたのである。

意気高く

1996/01/01 09:00:00

 今年は弁護士25年目であり、午齢も55歳になります。会社勤めをしていたら定年というところです。
 しかし、弁護士であるお蔭で定年もなく新しい事務所を開設してますます意気高く、大いに頑張りたいと思っています。
 独立してみて、新しい人との出会いもあり、人生の楽しさみたいなものを感じています。
 今年は仕事をバリバリやることはもちろん、趣味としてのゴルフや古典を読むことや能楽堂へ通うことなど多くのことをエンジョイし、高めていきたいと思っています。
 今年もどうかよろしくお願い申し上げます。

独立しました

1995/08/10 09:00:00

 弁護士になって24年目の今年4月、これまでお世話になった天王寺法律事務所から独立して岩城弁護士と事務局3名であべの総合法律事務所を開設しました。
 弁護士ならば独立してやってみたいと思うものですが、思い切って念願を実現しました。
 独立して、みなさんに役立ち、気軽に利用していただける事務所を創りたいと思い、その実現に努力していきたいと思います。
 社会や生活が多様化し、好むと好まざるとに拘わらず、法的な問題が生起します。そんな法的ニーズに応えられる事務所として発展させたいと思っています。
 まだ、発足して4ケ月余りであり、気持ばかりが先行していますが、地道な活動を展開していきたいと思います。
 そんな訳ですのでどうか、よろしくお願い申し上げます。
  年ふりて  思う心の春の日に
    湧き立つ思いの  新たな船出
      平成7年4月10日詠出

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