弁護士 蒲田豊彦の部屋

1997年03月

古典と私

1997/03/15 09:00:00

 私の古典への憧憬は小倉百人一首に始まる。萬葉歌から新古今和歌集を経て続後撰和歌集に至る百人の秀歌は歌ガルタを通じて中学生だった私を魅了した。歌の意味よりもあの三一音の格調高い旋律が私の感覚によく調和したのである。
 高校卒業の年、百人一首のなかの次の歌を贈られた。
   忍ぶれど色に出にけりわが恋は
   ものや思うと人の問ふまで

 私は同じく百人一首の次の歌を贈った。
   難波がた短きあしのふしの間も
   あはでこの世を過してよとや

 高校での源氏物語の若紫の巻や徒然草の授業には大いに感興を覚えたものである。
 しかし、大学進学のための古文を主語だの、形容詞だの、副詞だのと細切れにする無味乾燥な勉強が私を古典から遠ざけていった。
 その後、中村真一郎や立原正秋といった作家の本に出会い、古典を物語として読み、日記文学として愉しむことを学んだ。
 この二人の作家が私に古典の面白さや奥深さを教えてくれたように思う。
 古典を読むたびに新しい発見をし愉しんでいる。

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