事務所ニュース「いずみ」

法律相談Q&A

退職金と財産分与

夫と離婚するのですが、夫は2年後に退職金を受給します。退職金は財産分与の対象にならないのでしょうか?

 財産分与請求権は、離婚をした者に一方が相手方に対して財産の分与を求める権利です(民法768条1項)。退職金は、賃金の後払的な性格が強いので、夫婦が婚姻中協力して形成した財産といえます。従って、離婚の時点で既に支払われている退職金が財産分与の対象となることは問題ありませんが、夫婦が婚姻中協力して形成した財産であることが前提ですから、原則として実質的な婚姻期間(同居期間)に相応する部分に限られます。
  問題は将来受領する退職金です。裁判例も分かれていますが、退職金が賃金の後払的な性格が強いことから、将来支給されることがほぼ確実である場合には、財産分与の対象財産として認めている傾向が強いと言えます。退職までの年数が長ければ長いほど、不確定さは強まるということになります。
 また、具体的な支給額についても、判例の考え方は様々です。定年まで勤続した場合には増額した退職金を受給できること等を民法766条3項の「その他一切の事情」として考慮して、現在自己都合退職した額を基礎としつつも裁量により一定増額させた金額を将来退職金を受給した際に支払うよう命じたものや(名古屋高判平12・12・20)、「将来受給するであろう退職金のうち、夫婦の婚姻期間に対応する分を算出し、これを現在の額に引き直したうえで、清算の対象とすることができる。」として、将来の退職金の額自体を清算の対象とし、実質的な婚姻期間に相応する部分を計算し、中間利息を控除して現時点での支払いを命ずるものや(東京地判平11・9・3)、金額を特定せず将来支給されたときに支払うよう命じるもの(横山地判平9・1・22)などがあります。いずれにせよ、「将来支給されることがほぼ確実」か否かの立証のため、会社の退職金規程等を入手しておくことをお勧めします。

弁護士 中森俊久

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第29号(2011/1/1発行)より転載

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