事務所ニュース「いずみ」

法律相談Q&A

相続の限定承認

個人で事業をしていた父親が多額の借金を残したまま亡くなりました。私としては、これを期に、今勤めている会社を辞職し、父親の事業を継ぎたいと思っております。しかし、あまりに債務が多いので、債務全額を相続することには抵抗があります。何かいい方法はないでしょうか。

 民法は、「その相続に関しては、初から相続人とならなかったものとみなす」とする相続放棄の他に、「相続によって得た財産の限度においてのみ、被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して」相続を承認する制度を認めています。これを限定承認といいます。
 遺産が複雑で計算してみなければ債務超過であるかどうか分からない場合に、もし清算して残りがあれば欲しいと思う相続人にとって、都合のいい制度です。
 しかし、債務超過であることがはっきりしている場合でも、相続人が欲しい遺産については、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従い、その価額を弁済して競売を止めることができるので(民法932条、933条)、相続人に資産さえあれば、遺産を人に渡さずにすみますし、債権者との話合いで相続債務を減額してもらうこともありますから、被相続人の事業を受け継ぎたいという事例の場合には、利用できると言えます。 申立て期間は、相続放棄同様、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です(民法915条)。ただ、限定承認は、遺産全体について清算する必要があるため、相続人全員でしなければなりません(民法924条)。この点が相続放棄と違いますので注意が必要です。

弁護士 中森俊久

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第14号(2003/1/1発行)より転載

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