事務所ニュース「いずみ」

法律相談Q&A

成年後見制度

今年で84歳になる祖父が先日、足を折って入院をしました。
 それまでは、軽度の痴呆の症状はあったものの、元気にしていました。しかし、入院生活が長引く中で、痴呆の症状が著しくなり、今では、孫である私のことも日によっては、分からないようになってしまいました。
 医療費や家賃の支払い等をしなければなりませんが、こんな状態ですから、祖父が自分ですることなど到底出来ません。私が、いわば勝手にしてしまってよいのでしょうか。他に、叔父、叔母、従兄弟もいますので、あとあとやっかいなことにならないにするのに、何か、いい方法はありませんか。

 家族が高齢になるなかで、多くの方が、いつか直面される可能性のある問題でしょう。
 このおじいちゃんのように判断力が十分でない人を保護するために、民法7条は「精神上の障害に因り事理を弁識する能力を欠く常況に在る者について、家庭裁判所は、申立権者の請求により、後見開始の審判をする事が出来る」と定めています。
 申立の出来る申立権者としては、本人、その配偶者、4親等内(子、孫、叔父、叔母、従兄弟等)の親族等を認めています。また、家庭裁判所は、後見開始の審判をするとともに、成年被後見人(上記の例でいうと、おじいちゃん本人です)に対して、後見人を選任します。
 そして、選任された後見人は、本人の従来有していた財産上の法律行為について包括的な代理権及び財産管理権を持ち、成年被後見人のした法律行為について取り消すことができます。いわば、基本的に、財産の処分等を全般的に行うことの出来る権限を有することになります。
 但し、二つの例外があり、その一つは、成年被後見人のした日用品の購入その他の日常生活に関する行為についての意思表示で、これについては、取り消すことができないことになっています(民法9条但書)。また、成年後見人が、成年被後見人に代わって、成年被後見人が居住の用に供する建物またはその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならないとなっています(民法 859条の3)。これは、住み慣れた土地での生活場所が処分され、見知らぬ土地に転居しなければならないとなると、成年被後見人の心身に重大な影響が予想されるため、成年被後見人の保護の観点から、このような規定が設けられました。
 そして、家庭裁判所(または後見監督人)は、「何時でも、後見人に対し後見の事務の報告若しくは財産の目録の提出を求め、または、後見の事務若しくは被後見人の財産の状況を調査することができる。」(民法863条)として、家庭裁判所による後見人の財産管理行為のコントロールを図っています。
 本件のような場合では、相談者の方が申立人となって、祖父を成年被後見人として、後見開始申立を行います。その際、申立人自身が後見人に選任を希望する場合には、そのように申立書に記載すれば、裁判所は、その点を考慮してくれます。
 申立後は、家庭裁判所は、本人の精神状況について精神科の医師などの専門家に鑑定を依頼し、その結果や、本人の心身の状態、生活及び財産の状況、成年後見人となる者の職業及び経歴、本人との利害関係の有無、成年被後見人の意見等を考慮して、成年後見人を選ぶとされています。
 手続きの概要は以上の通りですが、弁護士が申立代理人となって申立手続きを行うことができますので、詳しいことをお知りになりたい場合は、当事務所まで、お問い合わせ下さい。

弁護士 上出恭子

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第13号(2002/6/1発行)より転載

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