事務所ニュース「いずみ」
HOME > 事務所ニュースいずみ > 法律相談Q&A > 特別縁故者の相続財産分与請求

法律相談Q&A

特別縁故者の相続財産分与請求

私の隣に住んでいた老年の女性は、子どももきょうだいもおらず、一人暮らしをしてきましたが、最後はほとんど寝たきりのような状態になりました。
 私と妻は長年の付き合いがあったので見捨てることができず、約2年半にわたり、朝晩3度の食事の世話から入浴、汚物の処理、飼い犬の散歩までしてあげてきましたが、最近その方は亡くなりました。私たちは決して見返りを求める気持ちはなく、親しい隣人の善意でこのような世話をしてあげたのですが、私たちに何か権利はないのでしょうか。

 法定相続人(配偶者、子、親、兄弟姉妹)がいないまま死亡した人の遺産は最終的には国庫に帰属しますが(民法959条)、その前に、家庭裁判所が選任した相続財産管理人が、その人に対して債権を有していた者や受遺者(遺言で財産を譲り受けた人)がいないか調査します。そして、そのような人がいない場合には、「被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者」(これを「特別縁故者」といいます)は、「相続財産の分与請求」をすることができます(民法958条の3)。
 特別縁故者といえるためには、生計を同じくしていた者(例えば内縁の妻など)、療養看護に努めた者や、これに準ずる程度に被相続人との間に具体的かつ現実的な精神的・物質的な交渉のあった者で、相続財産をその者に分与することが被相続人の意思に合致するであろうと認められる程度に特別の関係があった者をいう、とされています。
 ご相談のケースは、この特別縁故者として認めてもらえる可能性が十分にあります。私が担当した類似のケースで、裁判所は夫と妻のそれぞれに対して1割ずつ(夫婦で合計2割)の分与を認めました(大阪家裁平成10年9月17日審判)。
 なお、この請求は、「相続人捜索の公告」期間の満了後3ヶ月以内にしなければならないことになっており、それを過ぎると請求できなくなりますので、注意が必要です。

弁護士 岩城 穣

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第10号(2000/1/1発行)より転載

ページの先頭へ戻る