事務所ニュース「いずみ」

法律相談Q&A

借地契約の切り替え

私は、父が昭和31年頃に地主から借地して建てた木造建物に住んでいます。借地契約書は残っていません。父は今年3月に他界し、長男である私が建物を相続して登記をしました。ところが先日地主から、「今年は借地契約の更新の年にあたるので、契約書を作りなおしたい。また、あわせて地代を増額し、契約の更新料と借地名義変更料をもらいたい」との申し入れがありました。応じないといけないのでしょうか。また、最近借地法が改正されたと聞きましたが、その影響はあるのでしょうか。
借地上の建物の相続と借地権

 まず、あなたが父親から建物を相続した場合、借地権も 「従たる権利」として、あなたが相続したことになります。契約書が残っていなくても問題はありません。
 借地権の相続は包括的な承継ですので、名義変更料などを支払う必要はありません。

借地借家法の改正と従前からの借地契約

 平成4年8月、それまでの「建物保護法」「借地法」「借家法」を一つの法律にした「借地借家法」(新法)が施行されました。以前の「借地法」(旧法)では、借地期間について「堅固の建物」と「非堅固の建物」を区別し、「非堅固の建物」の場合は、契約で定めるときは20年以上、特に期間を定めなかったときは30年とされていましたが、新法では、堅固・非堅固の区別をなくし、契約当初は30年、1回目の更新では20年、2回目以降は10年とされました。これは、地主が借地人に貸した土地を返してもらいやすくする目的です。これに対して借地借家人組合をはじめとして、大きな反対運動が起こり、その結果、「この法律の施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による。」との経過措置が定められました(新法附則第6条)。
 従って、あなたの借地契約の更新は旧法によることになり、当初の契約では借地期間は恐らく20年となっていたものと思われますので、今年は更新の年になります。

借地契約の更新

 大切なことは、地主は「正当事由」がない限り、借地契約の東新を拒むことができず、借地人が土地の使用を継続していれば自動的に更新されるということです(新法第5条・第6条)。
 従って、更新に際して、改めて借地契約書を作成する必要はありませんし、地代などの借地条件も原則として従前どおりとなります。
 また、更新料の請求には応じる義務はありません(最高裁昭和51年10月1日判決)。
 権利関係を明確にするために、改めて借地契約書を作成してもかまいませんが、その場合は、新規契約とみなされないよう、従前の契約の更新であることを明記しておく方がよいでしょう。

弁護士 岩城 穣

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第4号(1996/10/18発行)より転載

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