事務所ニュース「いずみ」
HOME > 事務所ニュースいずみ > オアシス > B型肝炎問題について

オアシス

B型肝炎問題について

1 B型肝炎訴訟とは

 B型肝炎訴訟は、乳幼児期に受けた予防接種における注射針・注射筒の連続使用が原因でB型肝炎ウイルスに感染した方やその方々からの親子感染によってB型肝炎ウイルスに感染した方、遺族の方など、平成22年11月11日現在、613名の方々が原告となって、全国10地裁で国の責任を追及して闘っている訴訟です。
 当事務所では、瓦井弁護士と私が大阪弁護団の一員として活動しています。

2 乳幼児期に感染しなければ持続感染者になりません

(1)B型肝炎ウイルスによる肝炎の発症
 B型肝炎ウイルスは、血液や体液を介して感染し、肝細胞に侵入して増殖します。このとき、ウイルスが人にとって異物と認識されると、免疫機能が働き、体内から排除しようとします。
 しかし、免疫機能は、肝細胞ごと攻撃するため、肝細胞が破壊され、肝炎になるのです。
(2)B型肝炎ウイルスへの持続感染
 このように、B型肝炎の発症と自己免疫機能の働きには密接な関係があります。そのため、自己免疫機能が十分備わった後にB型肝炎ウイルスへに感染しても、多くの場合、感染は一過性のもので、最終的にはウイルスが排除されます。
 しかし、自己免疫機能が未発達な乳幼児期(おおむね7歳まで)にB型肝炎ウイルスに感染すると、免疫機能がウイルスを十分攻撃できず、ウイルスが肝細胞にすみつき、無症候性キャリア(ウイルスに感染しても肝炎の症状がなく健康な人)になってしまいます。
 その後、全員が無症候のまま一生を過ごせればよいのですが、キャリアの方の約10%は慢性肝炎を発症するといわれています。
 また、B型肝炎の特徴として、キャリアから突然肝硬変や肝ガンに移行することがあり、無症候性キャリアの方でも常に病気の不安を抱えて生活をしなければなりません。

3 あなたが原告だったかもしれません

 B型肝炎ウイルスが日常生活で人から人に感染することはありませんが、感染力の高い状態にある場合の感染力は、血清1ccを1億倍に希釈した後の溶液1ccを注射しても感染を起こすといわれています。
 そのため、注射針・注射筒の使い回しがされると、B型肝炎ウイルスに感染した子どもがいた場合、その子どもの後に並んで注射を受けた子どもは、非常に高い確率でウイルスに感染してしまうのです。
 国による強制的な予防接種は、昭和23年7月1日から始まりました。
 その後、通達によって注射器の使い回しが禁じられた昭和63年までの約40年間に渡り、子ども達は、強制的にB型肝炎ウイルスに感染する危険に曝され続けてきたことになります。
 また、医療の現場でB型肝炎ウイルスの危険性が十分認識されていなかったこともあり、出生時に適切な処置を受けることができず、集団予防接種でB型肝炎ウイルスに罹患した母親から生まれた子どもが親子感染したケースも多くあります。
 このように、B型肝炎問題は、私たちが誰でも患者となり得た、非常に身近な問題なのです。

4 早急な救済の必要性

 現在、原告となっている方々の多くは、何故自分がB型肝炎ウイルスに感染したのか分からず、何十年も苦しんできました。
 子どもをB型肝炎ウイルスから守ってやれなかったと悔やむご両親、適切な医療措置を受けることができず子どもに親子感染させたと嘆くお母さん、頭では感染が生じないとないと分かっていてもウイルスを感染させることを恐れて子どもを抱きしめることができないお父さん、定年を目前にした夫を失った妻、いくらお金をもらっても患者さんやご家族の苦しみはなくなりません。
 しかし、病状が酷くなれば当然働くことができませんし、そうでなくても月々の治療費は家計を圧迫します。また、国民誰もが被害者となり得た訳ですから、実際に被害を受けた方と被害を免れた方が平等に痛みを分担する方法として、国による一定の補償は必要不可欠です。
 全ての患者さんが安心して医療を受けられるように、そして、国からの一刻も早い真摯な謝罪と補償を求め、皆さまのお力添えをいただきますよう、よろしくお願いいたします。

弁護士 和田 香

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第29号(2011/1/1発行)より転載

ページの先頭へ戻る