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外国籍者の住民投票について

 大阪都構想の是非を問う住民投票が実施されたが、大阪市内に居住する外国籍の方々には投票権は認められなかった。
 この点、朝日新聞の10月11日版には、祖父の代から大阪市生野区で暮らす在日韓国人4世の方(22歳)の「『4世』にもなって、これだけ社会に根付いて、まだ投票権がないのはなんでや、って思う」「政治に参加する権利がないことは、この子らにも障壁であり続ける。しんどい立場におかれたマイノリティー(少数者)こそ、政治の影響を受けるのに」との声が紹介されている。
 2002年に滋賀県米原町(現米原市)が周辺自治体との合併を問う住民投票条例で永住外国人に投票権を認めて以降、住民投票で外国籍者に投票権を認めた例は広がりつつはある。一方で、今回の大阪市の住民投票(2012年に成立した大都市地域特別区設置法に基づく)のように、法律に基づく住民投票においては、投票権は公職選挙法を踏まえて日本国籍を有する方に限られるのが現状となっている。

憲法は禁止していない  

 このような外国籍住民の投票権をめぐる議論は、選挙権を含めた参政権をどうとらえるかの問題とも関連する。最高裁判所は1995年に「我が国に在留する外国人の内でも永住者等であってその区域の地方公共団体と特段に密接な関係を持つに至ったと認められるものについて、地方公共団体の公共的事務所の処理に反映させるべく、法律をもって地方公共団体の長、その議会の議員などに対する選挙権を付与する措置を講ずることは憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。」と判示している。
 即ち、日本において、永住者と特別永住者に地方選挙権を付与する措置を講ずることは日本国憲法15条(「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」)に違反しないとされている。

今後の課題

 少なくとも、永住者ないし特別永住者として日本に生活の本拠を有し、日本社会の構成員として日本に学び、日本で働き、日本の各種の納税義務を履行し、日本社会と地域に貢献している人々に少なくとも地方参政権を認めることは、日本政府の責務というべきではなかろうか。
 上記最高裁判決を受けてその後立法の動きもあったが、反対意見も根強く実現には至っていない。その生活実態を無視して、日本国籍を有していないことのみを理由に地方公共団体の選挙から除外することは、時代の潮流に反していると思わざるをえない。

弁護士 中森 俊久

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第48号(2021/1/1発行)より転載

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