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簡易裁判所の民事調停制度

 平成年4月から、大阪南部にある簡易裁判所の民事調停委員をしています。

 簡易裁判所は請求金額が140万円以下の訴訟や民事調停等を担当する裁判所です。そして、民事調停とは訴訟とは異なり話し合いで解決を目指す制度です。民事調停法1条には「民事に関する紛争につき、当事者の互譲により、条理にかない実情に即した解決を図る」とあります。「当事者の互譲により、条理にかない実情に即した解決」ちょっと変な言い方になるかもしれませんが、私が大好きなフレーズです。

 民間から選ばれた調停委員2名と簡易裁判所の裁判官1名が、調停委員会といういわばチームを組んで、調停を申し立てた「申立人」と申立てられた「相手方」の話を、原則、個別に交互にお話を聞いて、解決の具体的な方法を探ることになります。そして、例えば借りたお金を返すという約束を決めた場合には、調停調書という裁判所の正式な文書を作成し、その文書は裁判での判決と同じ強制執行力を持つものになります。

 通常、直接、お話を聞くのは調停委員で必要に応じて裁判官との「評議」という調停委員会内部での相談をして、どのようにして解決を目指すのか検討をします。

 普段の弁護士の仕事である一方当事者の立場で依頼者の利益を第一に考えて活動するのとは異なり、いわば対立する申立人・相手方、双方が了解される結論にいかにしてたどりつくのかあれやこれやと頭を悩ませながら考えます。当初、申立人・相手方各々が相手に対して相当立腹しており「話し合いなどとんでもない!」というスタートから最後には、解決をして、当事者の方に喜んでいただけた場合の醍醐味はなかなかのものです。

 今でも記憶に残っている事案の一つに、飲食店を営む店子さんが家賃が高いので減額して欲しいということで家主さん相手に調停の申立をされた事案がありました。当然、借りている方は周辺の最近の家賃と比べると高いといい、貸している側は高くない、新規に貸すのと従来から貸している人とでは家賃が違うのは当たり前っ!と言われ、折り合いをつけるのは当初、なかなか難しいのではと思われました。調停で解決出来ないとなれば裁判をすることになりますが、裁判で、白黒つけるとなると借りている店舗の価値を不動産鑑定を行うことになり、そのための費用が何十万とかかったり、当然、時間も要します。裁判になるといろいろやっかいですよということを双方にお話をしたところ、数回の調停期日を経て、最終的には家賃を減額することで話がまとまりました。家賃が減ることになったのですが、家主さんにもえらく喜んでいただいて、私自身手応えを感じたことを記憶しています。

 白黒をつけるのではなく、話をしてお互い譲り合って解決をする、そんな法的トラブルの解決法もありますので、是非、皆様にも活用していただければと思います。

弁護士 上出 恭子

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第39号(2016/1/1発行)より転載

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