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憲法再発見

第14回 象徴天皇制と女性天皇

1 この原稿を書くにあたって改めて憲法の条文をぱらぱらと捲った。そういえば憲法第1条は何だったっけ……と思いながら目をやると、そこには「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」と記されていた。「そうか、憲法は前文に続いて、天皇制の話からスタートするんだった。」と基本的なことを再確認した。

2 この天皇制、近頃、女性の天皇を認めるべきかどうかということで議論になっている。憲法2条には「皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」とあり、皇室典範第1条には、「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」と記されている。つまり、女性の天皇を認めるには、この法律を改正する以外に方法はない。

3 「一刻も早く法律を改正すべき」これが私の意見である。男性しか天皇に即位できないという議論は全くもって不可解である。「神武天皇のY1染色体がそのままの形で皇族男子には継続されていることが男系が正統である由縁」などといった生物学的な意見など、何ら説得力を感じない。憲法2条に記された「皇室典範」という法律が、長年にわたり不合理な男女区別を行っていることに強い違和感を覚える。「相撲の土俵に何故女性が上がれないのか。」「女性専用車両があるのなら、男性専用車両があるべきだ。」といった話と、憲法一条が定める日本国の象徴である天皇に女性が即位できないという話は、質・レベルとも全く異なるものであり、後者についてはあれこれ議論する必要もなく、即法律を改正すべきと思う次第である。

4 天皇制そのものに反対されている方も多い。それについては相当の議論を要するにせよ、現在の天皇制に根本的な問題があるのなら、それを是正しないで良いはずがない。憲法九条や国民投票法案等、憲法にまつわる議論は多く存在するが、皇室典範改正の問題についても、より積極的な運動の高まりを期待してやまない。

弁護士 中森俊久

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第20号(2006/8/8発行)より転載

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