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憲法再発見

第9回 自己決定権(憲法13条)と「髪形・服装の自由」

1 憲法は、国家権力を制限し、国民の自由を保障するものです。自由にも色々ありますが、代表的なものとして、信教の自由(20条)、表現の自由(21条)、職業選択の自由(22条)などが挙げられます。また、具体的な明文はありませんが、私たちの日々の生活における「何を食べるか、何時に寝るか、どこに遊びに行くか、誰とデートするか」という私生活上のありきたりな自由も、13条の幸福追求権の一部として、憲法上の保障が及ぶと考えられています(自己決定権)。

2 自己決定権が問題となった裁判に、中学・高校の校則による髪型や服装の自由の規制があります。それらの自由を自己決定権のひとつと解したとしても、「社会通念上、不合理とはいえない」として、その規制を許すのが判例の趨勢です。
 確かに、職場に就業規則があるように、学校においても一定の規律の存在は必要です。しかし、髪型や服装は、個々人のライフスタイルに関わる重要なもののひとつであり、そこに公権力が介入・干渉することは、慎重であるべきだと考えます。タバコや飲酒について、未成年者特有の規制が存在するのは分かりますが、髪型や服装についてまで規制する必要が本当にあるのでしょうか。むしろ、自由に服装や髪型を決めていくなかで、子どもたちは、学び、成長できるような気さえします。自己決定能力という言葉をよく耳にしますが、子どものころからそれを身につけていくことの重要性を、自分自身の反省も込めて感じます。

3 アメリカでは、学生のみならず、警察官、消防官等の髪型規制の合憲性が訴訟で争われており、その数は多いのです。国民性の違いもあるでしょうが、自己決定権及びその背後にはる自由権に対する認識の違いも、影響しているのではないでしょうか。我々は今一度、自由であることの有り難さ、大切さを再認識する必要があるのかもしれません。「自分のことは自分で決める」ということは、幸福追求の源だと思います。

憲法13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他国政の上で、最大の尊重を必要とする。

弁護士 中森俊久

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第15号(2003/7/20発行)より転載

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