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憲法再発見

第5回 「日の丸・君が代」法と憲法19条

 日本国憲法は、第19条で「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」として、思想・良心の自由を定めています。
 諸外国の憲法において、信仰の自由や表現の自由と別に、特に思想の自由を保障する例はほとんど見当たりません。
 これは、内心の自由が絶対的なものと考えられていたことや、思想の自由が表現の自由と密接に結びついていることから、表現の自由を保障すれば十分であると考えられていたからです。
 しかし、我が国では、明治憲法下において、治安維持法の運用に見られるように、特定の思想を反国家的なものとして弾圧するという、内心の自由そのものが侵害される例が少なくありませんでした。
 そこで、このようなことが二度と繰り返されることのないよう、日本国憲法は精神的自由に関する諸規定の冒頭に、思想・良心の自由を特に保障したのです。
 さて、今般、国会において、「日の丸・君が代」法が制定されました。
 「君が代」「日の丸」の持つ歴史的背景からすると、このような法制化は日本国憲法の大原則である国民主権、平和主義との関係で問題があることは言うまでもありません。
 しかし、それ以上に問題になってくるのは、運用の中で、事実上強制されることです。
 もしそのようなことになれば、先に述べましたように、旧憲法下での反省から、わざわざ思想・良心の自由を規定してそれを尊重しようとした憲法の精神そのものが死んでしまいます。
 今後の運用のされ方を、私たちひとりひとりが、しっかりと見守っていく必要があります。

弁護士 上出恭子

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第10号(2000/1/1発行)より転載

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