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弁護士活動日誌

大阪憲法ミュージカル2016 無音のレクイエム

憲法ミュージカルは、弁護士が呼びかけ人となって実行委員会を作り、同実行委員会が主催のもと市民の出演者約100名を募集し、プロの演出家らの指導のもと、稽古を重ね、本番での披露を目指すというものである。いわゆる市民ミュージカルの冒頭に「憲法」が銘打たれているのは、人権や平和の尊さといった憲法に込められたメッセージを出演者、観劇者ら多くの方々と共有し、憲法を考える契機になればとの思いがある。私は、今回「大阪憲法ミュージカル2016」の事務局を務めた。
5年ぶり、4作目となる憲法ミュージカルは、劇団往来がプロデュースする「無音のレクイエム」。戦前の大阪で、映画製作に夢をかけた若者が戦争の荒波にのまれる姿を描き、平和の尊さを訴える内容となっている。また、実行委員会には、憲法カフェを実践する弘川欣絵弁護士、大阪空襲訴訟の原告や大前治弁護士、日本国憲法大阪おばちゃん語訳の著者谷口真由美さん、フリージャーナリストの西谷文和さんらをゲストで招き、貴重なお話を頂いた。さらに、出演者を含めた有志でピースおおさか(大阪国際平和センター)を訪ね、大阪空襲に関する展示などを見学し、大阪で起きた空襲の実態をより学んだ。
お芝居の面白さを伝えたいと願う劇団往来の指導は、時に厳しく、出演者との信頼関係を築くまでに一定の時間を要した。しかし、乗り越えるものが大きければ、その後の結束が強まるのは当然で、時間を重ねる経過の中で、出演者の舞台に込める思いはそれぞれに高まった。そして、7公演・3000人近くの観客を動員し、成功を収めることができた暁には、制作陣・実行委員スタッフ・出演者らすべての関係者との間で、何とも言えない感動を覚えることができた。
今年は憲法公布70周年である。昨年には、政府による集団的自衛権の行使容認や、安全保障関連法の成立など、国の根幹に関わる重要なルールが変更された。また、安倍首相は、本年1月12日の衆院予算委員会にて「当然、来るべき選挙でも政権構想の中で、憲法改正を示す」と述べて、緊急事態条項の創設など、憲法改正に積極的な姿勢を崩していない。国の根幹に関わる重要なルールが、国民の十分な議論がない状況のもと、何となくの雰囲気のもと変わっていく状況に、一市民として危機感を覚えざるをえない。
あるべき国のルールにどのような意見を持つかは、当然ながら自由であるが、「今自由であること」「今平和であること」「今意見が述べられること」がいかに貴重で尊いかを、ミュージカルを通じて多くの方々と共有し、我々市民がそれぞれの立場で憲法を考える契機になれば嬉しく思う。エンタテイメントを通じて、憲法とふれ合うこのような企画が継続・発展していくことを願う次第である。

弁護士 中森 俊久

あべの総合法律事務所ニュース いずみ40号より転載

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