事務所ニュース「いずみ」
HOME > 事務所ニュースいずみ > 弁護士活動日誌 > 動き始めた「過労死防止法」

弁護士活動日誌

動き始めた「過労死防止法」

2011年11月、私たちは「過労死防止基本法制定実行委員会」を結成し、過労死防止を目的とする法律の制定を求めてきたが、その努力が実り、昨年6月、衆・参両院の満場一致で「過労死等防止対策推進法」(過労死防止法)が成立し、11月1日から施行され、既に次のような取り組みや動きが始まっている。

法律ができるまでは無我夢中であったが、法律は社会に大きなインパクトを与え、社会全体を変えていくということを日々実感している。

1 厚生労働省主催でシンポジウム

過労死防止法の制定を記念し、第1回の「過労死等防止啓発月間」の中心イベントとして、11月14日、霞が関の厚生労働省の講堂で、厚生労働省主催で「過労死等防止対策推進シンポジウム」が開かれた。

400席の会場は事前の申込みで満席。塩崎恭久厚生労働大臣の主催者あいさつ、超党派議員連盟の馳浩代表世話人の来賓あいさつ、過労死弁護団全国連絡会議幹事長の川人博弁護士の基調講演に続いて、8人の過労死遺族の皆さんが自らの体験と、この法律によって過労死をなくしてほしいとの訴えを語られた。

このように厚生労働省と私たち民間団体が同じ壇上に立ってシンポジウムを行うというのは、まるで夢のような光景である。

2 全国各地の集会・シンポジウムを国や地方自治体が後援

11月以降、20以上の都道府県で集いやシンポジウムが行われたが、その多くで地方労働局や地方自治体が後援し、地方労働局の方が出席してあいさつをしてくれた。

大阪で11月20日に行った「過労死等防止啓発月間シンポジウム」では、大阪労働局の監督課長と、3つの労働団体(連合大阪、大阪労連、大阪全労協)の代表がそろってあいさつをされ、過労死防止の取り組みにふさわしいものとなった。

3 「過労死防止推進協議会」が発足

過労死防止法では、政府は過労死防止対策を効果的に推進するために「過労死防止対策大綱」を定め、その案の作成にあたっては、過労死遺族や学識経験者も加わった「過労死等防止対策推進協議会」の意見を聴くとされている。今般設置された協議会(20人)には4人の過労死遺族のほか、元実行委員会代表の森岡孝二先生、過労死弁護団の川人博弁護士と私も加わり、今年6月をめどに大綱案を作成することになっている。

4 「過労死防止全国センター」を設立

過労死防止法の定める過労死防止対策は、国・地方公共団体と民間団体や専門家が連携して進めていく。そこで私たちは10月29日、民間団体の協力共同と、官民の連携の要となるものとして「過労死防止全国センター」を結成した。なお、私は事務局長に就任した。

5 「過労死防止学会」の設立予定

過労死防止対策の中心である過労死の調査・研究について国に任せきりにするのではなく、民間サイドとしてもこれに積極的に提言・協力する団体として「過労死防止学会」を今年6月ころに設立される予定である。会員には研究者のみならず、過労死遺族、弁護士、医師、活動家、ジャーナリストなど広く学際的、分野横断的に多くの方々の参加を期待している。

ということで、過労死防止法に魂を入れ、防止策を進めていく活動に積極的に関わっていくことになった。微力ながら頑張っていきたい。

弁護士 岩城 穣

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第37号(2015/1/1発行)より転載

ページの先頭へ戻る