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弁護士活動日誌

入管法の改正の影響 

私は、大阪弁護士会子どもの権利委員会、「外国人の子どもの人権部会」に所属している。同部会で最近報告のあった問題事例について報告したい。

2012年7月9日より改正入管法が施行され、外国人登録証が廃止されるとともに、適法に在留する外国人に対しては在留カードが発行され、住民基本台帳法の適用対象に加わる一方で、非正規滞在者については、在留カードの発行も住民基本台帳の作成もなされないことになった。これにより、非正規滞在者については、従前であれば外国人登録証(非正規滞在者にも発行されていた)の発行のもと当然に受けていた行政サービスが行き届かなくなるのではないかとの懸念が多方面から指摘されていた。

このような懸念を受けて、改正住民基本台帳法附則第23条では、法改正後もなお非正規滞在者が従前の行政上の便宜が受けられることとなるよう必要な措置を講ずることが規定された。そして、文部科学省も、各自治体教育委員会教育長に対し、外国人の子どもの就学機会の確保のため、在留カード等の提示がない場合であっても、一定の信頼が得られると判断できる書類により居住地等の確認を行うなど、柔軟な対応を行うことを域内の市町村教育委員会に対して徹底するよう通知していた。

しかし、本年度の公立小学校への就学の際、非正規滞在者の子どもが就学を拒否された事例が生じたとのことである。これは、上記文科省の通知が周知されていれば防げたケースであり、その後、上記子どもの就学は認められるに至ったと聞き及んでいる。教育を受ける権利は、その地位にかかわらず、差別なく平等に保障されるものであり(子どもの権利条約第28条1項)、このようなケースが氷山の一角であれば由々しき事態である。

今回の入管法の改正により、在留資格が無いことを理由に就学の機会が奪われることがあってはならない。国会審議においても、外国人の子どもが公立義務教育諸学校への就学を希望する場合は、法改正後も、在留資格のいかんを問わず日本人の子どもと同様に無償で受け入れるとの政府答弁が存在する。大阪弁護士会子どもの権利委員会「外国人の子どもの人権部会」では、上記文科省の通知等がどこまで教育の現場に徹底されているのか、アンケート調査を行うことを検討している。まずは非正規滞在者の子どもの就学状況の実態を把握することが重要だと思われる。

 

弁護士 中森俊久

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第34号(2013/8/1発行)より転載

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