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弁護士活動日誌

過労死企業名情報公開訴訟、勝訴しました

1 過労死企業名の開示を命じる全面勝訴判決

 去る平成23年11月10日、大阪地方裁判所第7民事部は、大阪労働局管内で発生した、過重労働による脳心臓疾患の発症(以下、「過労死」といいます。)の事案について、過労死として労災認定を受けた従業員がいる企業名の公開を求める情報公開請求に対し、企業名を不開示とした大阪労働局長の決定を違法であるとして取り消す、原告全面勝訴の判決を言い渡しました。

2 本訴訟提起に至った経緯

 本訴訟は、私も所属する大阪過労死問題連絡会が主体となって、どのようにすれば過労死の発生を防止することができるかと考え、提起したものです。

 過労死の事件も他の多くの事件同様、被災者側が勝訴しても、あくまで個別の事件であり、企業として積極的に過労死の防止対策を図るインセンティブが乏しく、同じ企業で過労死や過労死予備軍の発生が繰り返されることが往々にしてあるのが現実です。

 他方、企業は消費者が自社にもつイメージを重視します。労災認定は、企業の法令違反の有無を問題としませんが、企業名が公開されるとなると、企業は過労死を出さないよう適正な労働管理をすると考えられます。

3 本判決の意義

 本判決は、過労死を出した企業名の公開という前例のない分野において、その社会的意義を理解し、原告の請求を全面的に認めた判決であり、過労死を出した企業の社会的責任という点から当然の判決といえます。

 本判決に基づいて企業名が公開されることにより、企業が過労死を出さないよう努力することで、過労死の防止に大きな効果をもたらすと期待されます。

 また、労働行政としても、この公開制度があることをもって、更に過労死防止のための施策を推進することができます。

 さらに、就職活動中の方にとっても、当該企業が労働者を大切にする企業かどうかを見分ける格好の資料となります。

4 おわりに

 本判決は、残念ながら国が控訴したことで確定せず、事件は大阪高等裁判所に継続中です。高裁で再度企業名の開示を命じる判決を得られるよう、弁護団も一丸となって努力していますので、どうぞ今後ともご支援をお願い致します。

 なお、本訴訟の原告は、全国過労死を考える家族の会代表世話人寺西笑子さんで、当事務所からは、岩城弁護士、上出弁護士、瓦井弁護士と私が本訴訟に関わっています。

  

弁護士 和田 香

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第31号(2012/1/1発行)より転載

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