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弁護士活動日誌

個人再生のマンションの競売中止 

ある日、Aさんが深刻な顔をして法律相談に来た。

 借金が多く、住宅ローンの支払いも滞り、住んでいるマンションも競売にかけられ(抵当権の実行)一ヵ月半後に入札期日も迫っている。どうしたらいいだろうかというのである。

 聞いてみると、Aさんはサラリーマンとして働いていたが、折からの不況で給料カットが続き、収入が減少していくなかで借金が増えていき、住宅ローンの支払いもできなくなったとのことである。

 ただ、Aさんの奥さんや娘さんの援助を得て、借金を減額すれば、住宅ローンの支払いも何とか行っていけそうであり、滞っている住宅ローン(約一四〇万円)も親戚から工面して支払えそうだというのである。

 そこで、私たちは相談して、個人再生の手続を執り、それと並行して、不動産の競売手続を中止してもらう手続を執って再生(再建)の途をつくろうと言うことになった。

 個人再生というのは、借金が多く(債務超過の状態)、住宅ローンを抱えており、その住宅に住み続けて、借金は一定の利率で減額してもらい、その減額分を返しつつ、住宅ローンも返しながら再生をはかっていく方法である。

 過重な借金を抱えるときは破産するしかないが、平成一二年から個人再生の途をとれるようになったのである。

 私はAさんやAさんの妻、娘さんの収入状況から住宅ローンの返済や生活費を控除した額から返済原資を割り出し、三年間(特別の事情がある場合は五年間)で返済をしていくことができるかといういわゆる「再生」案を中心とする個人再生の申立書の作成を急いだ。個人再生の手続に伴う不動産競手続の中止をするに当たっては、入札日までに競売中止命令を執らなければならないからである。

 そのためには、競売の申立をしている住宅ローンの会社と誠意をもって交渉し、その結果を踏まえて裁判所に競売手続の「中止命令」を出してもらわなければならない。

 私は、住宅ローン会社の担当者に対し、住宅ローンの滞納金をいつごろまでにどのように一括で返済するか、今後のローンの支払いを少し変更して、このように返済していきたい、したがって競売手続の中止をお願いしたいと文書で説明し、ローン会社から裁判所の判断に委ねたい旨の回答を得た。

 その経過なども裁判所に文書で報告をし、何とか裁判所から競売手続中止命令が降された。そして、さらに再生手続開始決定を下してもらおうとしているところである。

 再生手続開始決定が出される見通しは十分にある。

 私はAさんが生活の本拠となるマンションを失うことなく、借金を誠意をもって再生計画に則って返済し、再生(再建)されるよう願っている。そのために私もAさんやその家族を励ましながらAさんやその家族にがんばってほしいと思っている。

  

弁護士 蒲田豊彦

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第30号(2011/8/1発行)より転載

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