事務所ニュース「いずみ」

弁護士活動日誌

労働局へいく

 我々弁護士の仕事というのは,何も裁判所へ行くだけではありません。今回ご紹介するように労働局というところへ行くこともあります。
 労働局がどういうところかというと,大阪労働局のホームページによれば「厚生労働省の所掌のうち、大阪府の労働に関する業務を推進しています。労働局は、総務部、労働基準部、職業安定部、需給調整事業部、雇用均等室から構成され、更に、大阪府内の労働基準監督署・ハローワーク(公共職業安定所)を統括しています。」と説明されていますが,要するに労働関係のお役所です。労働基準監督署いわゆる「労基署(ろうきしょ)」という言葉をよく耳にされることもあるかと思いますが,労基署は右の説明のように労働局の下部組織ということになります。
 さて,労働局へ何をしに行くかというと,違法な労働者派遣,例えば,いわゆる偽装請負(形式上は請負契約や業務委託契約となっているが,実態上は,注文者が請負人の労働者を直接指揮監督しており,請負や業務委託といっても労働者だけを派遣して,注文者の使用にゆだねているだけというケース。安西愈・労働者派遣法の法律実務【上巻】63頁)や許される派遣期間を超えて行われている派遣(例えば,工場で機械を製造する業務で派遣された場合,派遣可能期間の上限は3年です。)等が行われている場合に,当事者の方や労働組合の方々と共に労働局へその事実を申告し,派遣元と派遣先の実態を調査の上,是正指導をしてもらうようにするのです。
 もちろん当事者の方だけでも申告はできますが,我々弁護士が一緒に行く意味は,法律の専門家として当該事案の違法性(職業安定法44条違反や労働基準法6条違反)やなされるべき指導(派遣先が直接雇用することが望ましい等)について強く訴える点にあります。
 そして,違法の認定がなされ,是正指導が出れば,その後の組合による団体交渉や派遣元・派遣先の責任を追及をする裁判を行う際にも有利に進められます。何といっても,行政機関が「違法」と認定することの意味は重いものです。
 ただ,労働者が既に退職してしまった後だと(もちろん解雇の無効は争いますが),情報提供にとどまり,調査の上,是正指導するというところまで労働局が動いてくれないことが多いので,そういった意味では時間との勝負になります。
 昨今,非正規雇用をめぐる問題が社会的な問題となり,法律の改正もなされるようですが,違法な労働者派遣がなくならない限り,我々が労働局へ申告に行く日々も終わらないと思われます。

弁護士 長瀬信明

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第26号(2009/8/1発行)より転載

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