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弁護士活動日誌

世界社会フォーラム2009(ベレン)に参加して

1 私は、2009年1月27日から、ブラジルのアマゾン地域の港湾都市ベレンで開催た世界社会フォーラム2009に参加した。世界社会フォーラム(WSF)とは、「もう一つの世界を実現しよう」を合言葉に、経済と金融のグローバル化に対案を示す運動である。同時期にスイスの保養地ダボスで開催される世界経済フォーラムが進める新自由主義に対抗するものとして、ラテンアメリカやアフリカ、アジアなどの「南」の諸国で開催され、「南」だけではなく、日本をはじめ「北」の諸国からも多くのNGO等が参加し、様々な会合が開催されている。2002年ブラジルのポルトアレグレでの会合以降、毎年開催され、最近では10万人を超す人々が世界中から集まるこのフォーラム、私にとっては初めての南米体験でもあった。以下にその感想を述べる。
2「英語が飛び交う難しい会議に参加しても意味が分からないのではないか?」という不安もあったが、それら不安を凌駕するほど皆で参加した豪雨の中でのデモが強く印象に残っている。日本国内で「デモ」というと、「届出、動員、整列、警察の誘導」といった格式ばったイメージを持たれがちだが、世界中から集まった人々による数万人規模のデモはやはり違う。とにかく楽しかった。楽しいというと不謹慎なのかもしれないが、権力に対して弱者や少数者が物を言う手段としての「デモ」を体で感じることができたのだから、結果オーライお許し下さい。この感動の余り、私は調子に乗りすぎてしまい、高熱を出してしまった。さすがに地球の反対側での体調不良なので、韓国の時(この時は屋台の貝にあたる)とは異なり若干不安に陥ったが、大村さんから頂いた「ニンニクエキス」で事なきを得た。翌日の分科会はお休みさせていただいたが・・・。
2 当然、観光も楽しんだ。今でも周りから感想を聞かれるたびに、「アマゾンでピラニアを釣って食べた」「捕まえてもらったワニに触った」「イグアスの滝は凄すぎる」といった小学生レベルの回答を連発している。感動したと口にするのは容易いけれど、それをどう具体的に表現したらよいのか・・・体験した者にしか分からないというのが真実なのだろう。世界中を旅したいという気持ちになるとともに、小さなことに拘ることが多い日常を束の間忘れることができた。観光に戻れば熱が下がるところが私らしい。体調も絶好調であった。
 グローバル化というけれど、人権や平和の観点において、世界の趨勢をどこまで我々は理解しているのか?日本では当たり前の代用監獄による20日間の勾留は、世界では当たり前ではない。国際人権規約等の条約が日本の裁判所の判決において引用されることも希である。「条約違反が認められる訳がないけれど、とりあえず主張しよう」、何のための条約なのかと寂しい気持ちになる。選択議定書の批准もいつになるのだろうか。日本から莫大な距離を離れて、改めて日本のことを思った次第である。
 想像していたものの、地球の反対側はやはり遠かった。それでもベレン、マナウス、イグアスの旅は私にとって貴重な経験となった。次回フォーラムに参加するのであれば、参加者に大人気だった「憲法9条うちわ」をより大量に持参するぞ思う私であった。

弁護士 中森俊久

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第26号(2009/8/1発行)より転載

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