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弁護士活動日誌

不当逮捕・勾留と家裁不送致

1 当番弁護士から受任した少年の刑事事件で、22日間の逮捕・勾留後に「家裁不送致」となり釈放されるという結果を得た。

2 逮捕の理由は、A君(逮捕時18歳)が、平成14年12月24日(逮捕される約3年前)に、友人と原付を二人乗りして追い越しざまにバッグを引ったくった、というもの。しかし、A君は、引ったくりなどしたことはなく、犯行時間とされる時間は家族と一緒にクリスマスパーティーをしていた。私が最初に面会に行ったとき(逮捕の3日後・金曜日)も、A君は「全く身に覚えがない」と言っていたため「否認事件として頑張らないと」と思っていた。
 ところが、A君は、土曜日曜の取り調べで、犯行を認める供述を録られてしまった。慌てて面会に行くと、A君は私が面会室に入った途端「どうしよう」と言っておいおい泣き出し、「警察から『言わんかったら(罪を認めなかったら)1年も(少年院に)入る。言ったら(罪を認めたら)3ヶ月とか1ヶ月とかでいける』と言われ、いつ帰れるんやろうと心配になった。『証拠ある』と言われるし…」と自白してしまった理由を説明してきた。その日以降、何度も接見に行き、アリバイについて家族らの陳述書を作るなどしながら、早期の身体拘束解放を求めた。しかし、勾留延長され、勾留延長に対する準抗告も棄却されてしまい、A君は22日間も身体拘束されることになってしまった。
 A君には、連日のように取り調べがなされ、毎回自白を強要された。しかし、A君は否認し続け、勾留満期日に家裁送致されることなく釈放された(通常は、家裁送致されて引き続き身体を拘束されることが多い)。担当の副検事は、家裁送致しなかった理由について「処分保留にした」と説明していたが、犯罪の嫌疑がないと判断され家裁送致されなかったとしか考えられない。

3 家裁送致されずに終わったので記録は読めていないが、捜査機関が持っていた「証拠」は、おそらく先に逮捕されたA君の友人(少年)の供述だけであろう。A君は、3年も前の事件の容疑者に仕立てあげられ22日間も身体拘束されてしまったのだが、そんないい加減な証拠だけで逮捕勾留するなど、腹が立って仕方がない。どう考えても冤罪という事件だったため家裁不送致は当然の結果で、22日間も身体拘束されてしまったことに忸怩たるものがあったのだが、それでもA君もご家族もとても喜んでくださり、申し訳ない気持ちで一杯になった。こんな事件を無くすためにできることはないものか、考えさせられる。
 (なお、私一人の手に負える事件ではないと考えた私は、関西合同法律事務所の青砥洋司弁護士にも弁護人になっていただきました。青砥弁護士の弁護活動は熱心で素晴らしく、私一人ではとうてい得ることの出来ない結果だったと感謝しています。)

弁護士 佐藤真奈美

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第20号(2006/8/8発行)より転載

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