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弁護士活動日誌

二つの解雇事件に思う

1 弁護士登録した直後から、複数の解雇事件の弁護団に加えていただいている。どの事件においても、労働者を「使い捨て」にする使用者の態度に触れるたび憤りを感じているが、この稿では共通する法的問題を含んだ二つの解雇事件について述べてみたい。

2 2つの事件に共通する特徴は、①原告が複数の集団事件、②原告全員が女性のパート社員、③被告は著名な大企業、の三点である。 一つ目の事件は、原告らが従事していた業務が100%子会社に移行されることになり、パート社員も全員移ると説明されていたが、原告らは子会社との面接後「縁がありませんでした」と通告され雇用されなかったという事件である。二つ目の事件は、原告らが従事していた業務が別会社に委託されることになり、原告らは解雇された後その別会社(従来勤務していた会社とは、元請け・孫請け関係となってしまう)と雇用契約を締結するように通告されたという事件である(原告らは極めて不利な地位になることから拒否)。いずれの事件でも、被告会社は一方的かつ横暴な対応をとっており、後者の事件では営業部長が「大の男がリストラされる世の中だ。次の仕事があるだけでも幸せに思って欲しい。」と発言するなど、その「使い捨て」ぶりには信じがたいものがある。 いずれの事件においても、業務の移行・委託は「業績悪化」を理由に行われている。そして、前者の事件の被告代理人は「新会社が雇い入れなかっただけの問題。『雇い入れる』段階では、会社の広い裁量が認められるため、『整理解雇の4要件』の適用はない。」などと主張している。しかし、この論理にのると、全員を解雇の対象とするため解雇の有効性についてのチェックはあまり厳密でなくなり、その後雇い入れるかどうかは子会社の裁量に任されるとのことで、今まで築き上げられてきた解雇の有効性についての厳密なチェックがなされないことになってしまう。形ばかりの子会社をつくり、そこに業務を委託することによって、簡単に解雇することが許されることになりかねない。

3 いずれの事件においても、原告は、長年にわたり大変な仕事に従事してきている。当然、生活設計もご自身の給料をもとに立てており、解雇により大変な生活状況に追い込まれてしまっている。このように大変な事態を招く「解雇」をいとも簡単に行ってしまう被告会社を許すことはできず、今後類似した手法による被害が出ないようにするためにも、何としても勝ち抜いていきたいと思っている。

弁護士 藤真奈美

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第16号(2004/1/1発行)より転載

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