事務所ニュース「いずみ」

弁護士活動日誌

風害訴訟の提起

 堺市に住むAさんとBさん一家は、施主である大手の商事会社Mと請負業者である同じく大手の建設業者T(以下加害企業という)が平成8年3月に建てた20階建のマンションによる風害によって平穏な生活を脅かされ、建物も傷つけられるという被害にあっています。
 季節風のシーズンを中心に17.2メートル以上の強風(台風とは17.2メートル以上の風が吹く場合をいいます)が2年間で31回も吹き、本当の台風のときはその強風がさらに増幅されて吹き荒れます。
 風の強い日は外出時に自転車に乗れない、洗濯物は吹き飛ばされる、屋根の瓦が飛散する、玄関ドアのガラスが風圧で割れる、家がドドーンとかメキメキと音を立てて揺れる、庭木の枝が折れる、風がゴーゴーと鳴ってこわくて眠れない夜が続くなどの被害が続出しています。
 高層マンションの計画が発表された段階から、Aさん、Bさんや近所の人たちは自治会を通じて日頃の風向きなどから高い建物による風害が発生するおそれがあるので、マンション建設を中止するか、階数を減らすように加害企業に申し入れ、交渉してきましたが、加害企業は大学の教授の風害は発生しないという意見書を盾に住民らの要求を拒否し、強引に高層マンションを建設してしまったのです。
 ところが、加害企業側の説明とは裏腹に、右に述べたような被害が発生しているのです。
 AさんとBさんは加害企業に対し、防風のための植栽や防風壁を設けてほしいなどと、その改善を求めました。しかし、加害企業は防風壁は景観等の問題があると難色を示し、植栽は高層マンションを敷地一杯に建てたこともあって、空地がないとして防風をやわらげる方法はないとの回答でした。
 そこで、AさんとBさんは加害企業を被告として、裁判としては珍しい風害を理由とする慰藉料や土地・建物に生じた損害(もうそこには住むことができず、土地・建物は無価値になった)の支払いを求めて昨年12月16日訴訟を提起しました。
 風害訴訟は全国でもあまり例がなく、裁判のゆくえが注目されます。

弁護士 蒲田豊彦

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第10号(2000/1/1発行)より転載

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