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弁護士活動日誌

日照権侵害で賠償命令

 「日照権でしっぺ返し」「藤井寺で周辺住民訴え、600万円賠償命令」写真のような大きな見出しで昨年12月25日付毎日新聞夕刊が3面トップで報じた。
 藤井寺市に住むAさんら3家族11名は長い間、日照に恵まれた2階建建物で健康な生活を送ってきた。
 ところが、あの住専で名高い富士住建が平成6年、Aさんほかの小規模住宅が並んでいる南側に分譲用の3階建住宅5戸の建築を計画、Aさんら住民が町並みに調和した2階建てにしてほしいなどの要望を富士住建に申し入れたが、富士住建はこの要望を聞き入れず、3階建ての建物の建設に着手。住民側はやむを得ず建築禁止の仮処分を大阪地裁に申請したが富士住建はこの仮処分の申請中にも3階建建物の建設を強行してしまった。
 そこで原告11名は富士住建に対し3階建建物によって日照時間が著しく減少し「受忍限度を超える」として合計1210万円(原告1人慰藉料100万円と弁護士費用10万円)の支払いを求めて大阪地裁に提訴。約2年の審理を経て新聞報道のように富士住建に約600万円の支払いを命ずる判決となったものである。判決は「冬はほぼ日照がなくなり、夏も家屋の一部に1時間の日照があるに過ぎない。一日中電灯をつけねばならず、洗濯物も乾かない」と認定し、富士住建は2階建にしたり、境界線の位置や建物の構造を考慮することで原告らの受ける日照被害を軽減することが十分にできたのに「自己の企業収益の必要性有効性のみの見地から…当初の設計のとおり本件建物の建築を強行したものといわざるを得ない。」「富士住建による本件建物の建築は、原告らとの関係では、受忍限度を超える日照被害をもたらすものとして不法行為を構成するというべきである。」と断じている。
 また、富士住建の「建築基準法などの法規制はクリアしている」との主張に対して判決は「公法上の日影規制に適合しているからといって直ちに私法上も適法であり不法行為を構成しないとはいえない」と明確に判断している。
 この判決は建築業を営む企業の住民の権利を顧みない強引なやり方に警鐘を鳴らすものであり、また、子供も含め家族の一人一人が日照を享受して生活する権利を有することを高らかに宣言するものとして高く評価できるものである。この事件は現在大阪高裁に継続中である。
 この事件は当事務所の岩城弁護士と共同で弁護活動をしている。

弁護士 蒲田豊彦

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第5号(1997/3/15発行)より転載

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