事務所ニュース「いずみ」

弁護士活動日誌

土地の購入と通行権

 先日、豊中で不動産業を営むAさんが建売住宅用に少し奥まった土地を購入し、建築を開始しようとしたところ、B氏から、市道に出るまでの道路が私道であるから工事用の車はもちろん、建売住宅の人居者も車で通行してもらっては困るといわれたということで相談に来られました。AさんはB氏の私道については近所の人も通っており、私道に接している人は自動車で通行しているので安心して上地を買ったのです。
 一般に、建物を建てる十地は道路に2メートル以上接していなくてはならず(建築基準法43条)、その道路は幅員4メートル以上というのが原則です(同法42条1項)。Aさんの買った上地はもちろん、2メートル以上道路に接していましたが、接している道路は4メートル未満でした。しかし、建築基準法ではいわゆる「二項道路」といって特定行政庁が指定すれば4メートル未満の道路でも建築基準法上の道路とみなされます。Aさんはこの点はよかったのですが、その指定道路が私道だったのです。AさんはB氏に通行させてほしいとたのみましたが話し合いがつきません。そこで、AさんはB氏を相手にAさんの通行を妨害してはならないという仮処分を申立てました。
 しかし、Aさんの通行権は法律的にはなかなか認められにくいのです。前所有者のときから20年以上道路として利用してきたのであるから、取得時効によって通行地役権を取得したとか、B氏の黙示の承諾により通行地役権が設定されたと主張しましたが利用者が自ら道路を開設した場合でないと時効取得を認めないのが判例の立場であり、Aさんの時効取得の主張は難しく、黙示の承諾というのもなかなか認められにくいのです。
 審理のなかで裁判官がAさんの買った土地を有効に活用するためにB氏に話し合うように勧めてくれ、結局、和解で一定の金員を支払って、車も含めて通行ができることになりました。
 結果はうまく解決しましたが、土地を購人するときには細心の注意をはらう必安があると思います。

弁護士 蒲田豊彦

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第3号(1996/5/25発行)より転載

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