事務所ニュース「いずみ」

弁護士活動日誌

忘れられない一年

 弁護士登録した1988年以来、過労死問題やサービス残業問題に取り組んできた私にとって、2002年は忘れられない1年になりそうである。
 まず何よりも、弁護団の一員として取り組んできた6件の過労死事件で勝利することができた。
 ①2月、土川事件(23歳のデザイナーの過労死事件。99年提訴)で、大阪地裁で完全勝利和解が成立。5月には労基署で労災認定。
 ②3月、T事件(44歳の現場代理人の過労死事件。98年に審査請求から受任)で審査官による逆転認定。
 ③4月、為実事件(54歳ガス管溶接工の過労死事件。96年受任、労災申請と民事訴訟を同時に行った)で大阪地裁で勝訴判決。
 ④5月、廣瀬事件(21歳の出版会社社員の過労死事件。98年3月受任)で審査官段階で逆転認定。
 ⑤7月、西原事件(46歳運転手の過労死事件。95年受任、98年行政訴訟と民事訴訟を同時提訴)では、一昨年12月の労災再認定に続き、大阪高裁で完全勝利和解。
 ⑥9月、B事件(46歳の運送会社事務員兼運転手の過労死事件。昨年受任)で労基署が労災認定。

 遺族、弁護団、支援者の方々と共に悩み、闘ってきた事件で勝利できることは弁護士冥利に尽きることであり、本当にうれしい。しかし、勝利しても、かけがえのない被災者のいのちは還らない。勝利した後で改めて哀しみを噛みしめるのが過労死事件である。
 そして、勝利に一休みしている間もなく、新たに一〇件以上の過労死事件を担当することになった。

 サービス残業問題でも、労働基準オンブズマンの取り組みの一環として、サンマーク高橋事件(「営業手当」を支払っていることを理由に残業手当を支払わない会社に対して2001年提訴)で、3月に大阪地裁で勝訴判決を勝ち取り、7月には大阪高裁で完全勝利和解ができた。会社は和解条件に従い、就業規則を改定した。この12月には、同じような訴訟(関西テック井島事件)を大阪地裁に提訴した(後掲の佐藤真奈美弁護士の文章参照)。

 過労死の背景には、膨大なサービス残業がある。7月には、労基オンブズマンとして『しない させない サービス残業』を旬報社から出版した。そして、世論の広がりを受けて厚生労働省や各地の労働局・労基署のサービス残業摘発の取り組みが大きく広がり始めている。 一緒に頑張ってきた仲間たちとこの一年の成果を喜び合うとともに、これからも頑張っていきたい。

弁護士 岩城 穣

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第14号(2003/1/1発行)より転載

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