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寄稿

二月堂修二会

 3月12日の夕、奈良・東大寺は大変な混雑になります。言わずと知れた二月堂の「お松明」を観ようとする人々で溢れ返るからです。「お松明」は童子が燃え盛る巨大な籠松明を担いで二月堂の登廊を上り、舞台のような回廊で火の粉を散らして回る勇壮な行事ですが、近年は膨大な観衆になったので二月堂へは一方通行にして交通整理しています。よく知る人は明るいうちから二月堂下で寒さに耐えながらも待っているので午後7時に大鐘が初夜の鐘を鳴らす頃には二月堂下はもう立錐の余地が無いほどになっています。ですがその頃でも全国から観光バスや電車で駆けつける人も多く、それから並んでいても二月堂までたどり着かないうちに「お松明」行事が終わってしまって観られない人が多くなり、中にはそれで寺に苦情を言う人もいるようで、寺もオ?バ?フロ?してしまっている現状をどうすることもできず苦慮しているそうです。
 この「お松明」は3月1日から14日までの二七日(14日間)、「修二会」を修する練行の僧が初夜の法要に二月堂へ上堂される時、お付きの童子が手松明を灯して道灯りにしていたものが、いつしか大仰な今の大松明になったもので、特に12日は大きな籠松明となり人々が集中するのですが、練行中は毎日上堂の「お松明」は上るので他日にゆっくり観られるのもよろしいでしょう。
 ただ「お松明」が終わると多くの人々がすぐに帰ってしまうというのは誠に残念なことで、「お松明」で上堂された練行衆が勤める「修二会」がこの行事の本質なのでぜひそれを拝観されることをお勧めします。
 修二会とは二月堂のご本尊、十一面観音菩薩さまへ世の人々が犯す過ちを11人の練行衆が代わって懺悔し、国や国民の太平と幸せを祈願する「十一面悔過」法要のことです。他では見られない厳しい戒律のもとで、一日に六時(6回)もの法要を繰り返して行われ、その声明や所作、行事次第は古代から変らずに伝承し修法されています。そしてこの毎日繰り返される法要へは日によって「過去帳読み上げ」や「走り」、「ダッタン」、「お水取り」などの特別な行事が加わります。
 修二会はもともと見せるために行われているものではないので拝観に制約はありますが、それでも二月堂の堂内で外回りにある局(つぼね)と呼ばれる所へは自由に入れますので、そこからは内陣や礼堂で修められる練行衆の実に真摯な練行の姿や独特の声明が確かめられ、そこはいつしか古代への時空間に入り込める不思議なところでもあります。
 <詳細は拙著「今駒清則写真集「南無観」(奈良新聞社刊)をどうぞご覧下さい>

結願の14日だけ「お松明」は回廊に並びます。
 写真撮影:今駒清則

今駒 清則

今駒 清則氏のご紹介

 今駒さんは、写真家であり、大阪芸術大学教授です。
 今駒さんは、写真家の入江泰吉氏に師事されました。
 歴史、美術、芸能ドキュメントの出版写真を專門とされ、最近は花鳥風月、特に「空」に魅かれているとのことです。
 私は今駒さんが撮られた能舞台や能の面(おもて)の写真が好きです(今駒さんは能楽写真家協会の会員)。
 今駒さんと私の出会いは、35年ほど前になりますが、今駒さんが所属している大阪芸大労組(今駒さんは役員をされています)に対する学院の不当労働行為に対するたたかいに、私が弁護団の一員として参加し、ともにたたかったときからです。
 最近も学院の不当な攻撃(不当配転)に対して、今駒さんは、果敢にたたかい勝利された正義感の強い方です。
 またいつか、今駒さんの個展に招いてほしいものだと思っています。

弁護士 蒲田豊彦

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第29号(2011/1/1発行)より転載

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