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寄稿

山歩きの楽しみ

 はじめまして。
 私は「山遊会」というハイキング仲間の一員です。蒲田先生,岩城先生,上出先生らと,この会を通じて愉快で健康的なおつき合いをさせて頂いています。
 私は,昨年6月に,39年間の裁判官生活を定年退官しました。その折には,多様な職種の方々が加わる山遊会の面々に,心温まるお祝いと慰労の会まで開いて頂きました。この会に参加させて頂いて十数年,定例の山歩きにはほとんど欠かさず出席してきて,どんなに楽しかったことか,どんなに元気を貰ったことか。気持ちの沈むこともあった私の裁判官生活を,常にリフレッシュさせ,カツを入れてくれたような気がします。
 本当に,山歩きは気持ちがいいものです。草原と樹木の匂いが溢れる中を,ひたすら歩き続け,汗をかく,ときに,周囲を見晴らし,呼吸を整え,バカ話をする,そんな繰り返しだけなのだが,気持ちはすっかり若返る。心まで素直になり、子どものように無邪気にはしゃぎたくなるのです。
 どんな仕事にも緊張の時はありますが,裁判官という仕事は,それがかなり極端です。緊張以上に厳粛ささえ求められます。判決の言い渡しのとき(私は刑事裁判官でした),テレビカメラが入って,裁判官の表情を映したりすることが時々ありました。後で放映を見て,なんとまあ「むつかしい顔」をしていることかと,自分で感心してしまいます。しかし,あそこで,はしゃいでしまって,ピースサインを出すわけにはいかないのです。
 人の,ある意味では,運命を決める言渡しには,厳粛な気持ちで臨まなければなりません。しかし,人間裁判官は,いつもいつも緊張と厳粛ばかりではいられません。山遊会は,こうした私にとり,緊張を解きほぐす大切な場であったのです。
 退官後,弁護士となりました。この仕事も,はしゃいでは,決してやれないことでしょうが,苦虫をつぶしたような「むつかしい顔」はしなくても,と,そんな期待を持っていました。
 ところが,検察審査会が,JR西日本事件について,起訴相当の決定を出し,これを受けて,私は,弁護士会から検察官役を依頼され,受任する羽目となってしまいました。またしばらくは緊張と厳粛が続きそうです。山遊会で気持ちを発散するひとときが,これまでと同じように,大事になってきそうです。皆さん、よろしく頼みます。

伊東 武是

伊東 武是氏のご紹介

 伊東さんは、裁判官生活39年のうち約30年にわたって刑事の裁判官を務められ、昨年5月定年退官された。
 今は弁護士と大学の教授をされています。
 裁判官として国民に開かれた司法、司法機能の充実・強化という観点から多くの論文を発表されたり、討論会などで意見を述べてこられました。
 現職の裁判官の団体である「開かれた司法の推進と司法機能の充実強化に寄与する」ことをめざす「日本裁判官ネットワーク」に所属され、国民のための裁判の実現に向けて活動されてきました。
 現在伊東さんは刑事裁判の専門家として、JR西日本の尼崎脱線事故の強制起訴の指定弁護士(検察官)として主任に選任され頑張っておられます。

 そんな伊東さんはもう10年以上も前から私たち弁護士を中心とする山のグループ「山遊会」のメンバーとして奥さんとともに参加し、山行やハイキングを一緒に楽しんでいます。
 伊東さんは気さくでみんなから親しまれています。
 今後も仕事に山行にお互いに元気にやっていきたいものです。

弁護士 蒲田豊彦

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第28号(2010/8/1発行)より転載

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