事務所ニュース「いずみ」
HOME > 事務所ニュースいずみ > 寄稿 > 「杭を残して悔いを残さず」!?

寄稿

「杭を残して悔いを残さず」!?

 みなさん初めまして。私、かつて法律事務所の事務局として数年間勤めていたことがあり、現在もあべの総合法律事務所の方々にはお世話になっています。そして、いつかはこのご恩に報いたいと、「土地家屋調査士」(以下「調査士」といいます)なる資格を取得し、日々研鑽を積んでいる次第です。
 みなさんは、「土地家屋調査士」という職業をご存じでしょうか。実際のところ、どうせみんな知ってるハズないっスよ、とイジケてしまいたくなるほどに、認知度の低いこと低いこと。同じく「登記」を生業とする司法書士に較べれば、十数年前のセ・リーグとパ・リーグほどの差があります。土地や家屋を「調査」するってことは、地面をほじくり返したり、家(や)捜ししたりする怪しげな人なのかしら……といった想像を膨らませることもあるでしょう。いやもう、この際どんなイメージを持って頂いても結構です。ただ、他人の家の裏庭でゴソゴソとナニかを埋めていたり(これを「境界標埋設作業」といいます)、新築の家の周りを巻き尺持って走ってたり(これを「建物測量」といいます)している怪しげなオジサンを目にしたとき、それは私かも知れませんので、通報する前に一声掛けてみて頂ければ幸いです。
 そんな調査士の隠された使命(いや、実は法律で決まってるんですが)のうち、私が最重要であると考えているものが、「土地の境界確認」です。土地をお持ちの方のなかでも、「実は境界がどこか、はっきり知らんねん」とおっしゃる方は多数おられます。しか~し、土地の境界(「筆界」といいます)は、必ずそこにあるのです。「(決まってるけど)ちゃんと知らん」のです。何のコッチャとお思いでしょうが、これを詳しく述べると約5年に亘る長期連載記事になってしまうので、今回は泣く泣くその説明を割愛させて頂きます。そこで私たち調査士が、あらゆる資料や関係者の証言を基に、この「失われた線」を地表へと炙り出すため、日夜努力しているのです(モノは言いようですね)。
 さて、このように大事な筆界を明らかにするのに重要な証拠のひとつに「境界標」というモノがあります。道路の端っことか、庭の隅っことかを覗いていただければ見つかることがあります。コンクリートやプラスチックの杭だったり、アルミや真鍮で作られた金属板だったりします。たま~に、筆界ではないところに設置されているものもあったりします。しかし、それもこれも含めて全てが筆界を確認するための重要な資料です。どうか皆様、大切に扱ってやって下さい。そしてこのお正月休みに、土地をお持ちの方も、そうでない方も、一度ご自分の住んでいる建物がある土地の筆界がどの辺にあるか「確認」してみるってのも一興かと存じますが、如何でしょうか。

土地家屋調査士 樋口 剛

土地家屋調査士 樋口 剛氏のご紹介

 樋口剛さんは、私と蒲田弁護士が1995年まで所属していた天王寺法律事務所で事務員として勤務していた、もと同じ職場仲間である。
 私たちはその後独立してこのあべの総合法律事務所を開設し、樋口さんは土地家屋調査士事務所で働きながら勉強して見事資格を取得された。現在は新進気鋭の若手土地家屋調査士として活躍中である。
 今年2月、樋口さんに講師として来ていただいて、境界について事務所で勉強会をしたが、十数年ぶりにこのような形で関われたことに感慨深いものがあった。昔と変わらぬ軽妙な語り口の中に、業務に取り組む真摯な姿勢を感じた。
 天王寺法律事務所時代で思い出深いのは、1992年に名古屋の市民劇団「希求座」と大阪の「劇団きづがわ」による、過労死をテーマにした劇「突然の明日」の上演運動に一緒に取り組んだことである。法律事務所の弁護士・事務員という関係を超えて、ともに一つの目標に向かって頑張ったことを懐かしく思い出す。
 それぞれの専門分野をはじめとして、これからも様々なことで連携して行ければと思う。

弁護士 岩城 穣

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第25号(2009/1/1発行)より転載

ページの先頭へ戻る