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寄稿

励ましの笑いで国際貢献だ

 励ましの笑いを全国に届ける笑集団・笑工房を8年前に立ち上げた直後であった。私は不思議な光景に直面した。落語を聞いている人達が次々とすすり泣きを始め、嗚咽が会場一杯に広がり、語っている落語家が貰い泣きし落語を続けることができないのだ。

 あべの総合法律事務所の岩城穣弁護士や上出恭子弁護士らの依頼で、過労死弁護団全国連絡会議用に作った過労死の落語「閻魔の怒り」を、落語家・桂福車が関係者を前に演じたときであった。噺をおえた落語家の元へ何人もの遺族が集まり「この落語を主人の両親に聞かせたかった」等と、落語家の手を握り誰はばかることなく涙を流していた。

 私は「吉本興業」の笑いが大嫌いだ。山田花子のような弱者のボケ役をどついたり、蹴ったり、いじめ・辱めて笑いを取る。あんな「お笑い」を幼児期よりテレビで見、それに慣れ親しんで育つ子供は、他人をいじめ、辱めてもなんの不自然さも違和感も感じず、むしろ快感すら覚える人間になってしまう。

 「吉本的お笑い」に対抗すべく設立した笑工房は、5年前に全国各地119人の出資で株式会社になり、売上げも上昇中で「吉本」を追撃中だ。確か「吉本」の売上が年間300億円、笑工房もあと299億5千万円だけ売上げを増やせば「吉本」と並ぶのだ。頑張るぞ。

 各地からは連日のように感動的な感謝状・感想文・礼状が届く。こんな芸能プロダクションは全国どこにもないと断言する。落語家・笑福亭鶴笑は我々が作った環境落語で平成14年度芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞し、文化庁の文化交流使第1号に任命されてロンドンに渡り、ヨーロッパで日本文化を普及する活動を続けている。

 そして昨年9月、「地上に平和を、人々に笑顔を」をスローガンに世界中に励ましの笑いを届けるNPO法人国境なき芸能団が笑工房を母体に設立され、3 月27日から4月4日まで、移民50年、筆舌に尽くせないご苦労をされたドミニカ共和国の邦人と現地の人々を訪ねる。その費用を捻出するために2月28 日~3月2日の3日間、午後7時より天満天神繁昌亭でチャリティ寄席を開く。

 戦車や大砲は後に憎しみや恨みを残すが、笑いは人々の心を癒し怒りや憎しみを溶解し、相互理解と友好を育て平和の実現へ大きな国際貢献をするのだ。

 さあ、これからは世界中が舞台だ。

(株)笑工房代表取締役・NPO法人国境なき芸能団事務局長 小林康二

(株)笑工房代表取締役・NPO法人国境なき芸能団事務局長 小林康二氏のご紹介

 小林康二さんは、1994年まで全大阪金属産業労組の委員長を務め、戦闘的な組合活動家であった。私が弁護士になって間もないころ、蒼電舎という会社の倒産をめぐる事件で、全大阪金属傘下の組合の弁護団の一員に加わらせていただいたことがあるが、小林委員長の迫力ある弁舌を聞いて、「カッコいいなあ」と思ったことを思い出す。
 その小林さんが、54歳で突然早期退職した。理由を聞くと、「今は内緒や。そのうちおもろいことを始めたいと考えてるんや」。後に、シナリオ学校に通って勉強していたことがわかった。
 そして、98年に立ち上げたのが「笑工房」である。その落語や漫談は、教育、医療、環境、労働、消費者問題など幅広いテーマに及び、働く人々や庶民にとって「励ましの笑い」である。今や全国各地から講演依頼があり、当事務所が05年9月に行った「10周年のつどい」にも、桂福車さんの落語「閻魔の怒り」と、木藤なおゆきさんの漫談「地球のすみずみに憲法の花を」を演じていただいた。
 さらに進んで、ついに笑工房は活躍の舞台を世界に広げつつある。今後の小林さんと笑工房の一層の活躍を祈りたい。

弁護士 岩城 穣

あべの総合法律事務所ニュース いずみ第21号(2007/1/1発行)より転載

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